遺産分割と代償金
ここでは遺産分割の代償金の支払いに関してのご案内を相談事例に沿ってご案内させて頂きます。
一般的な相続の流れでは代償金の話がでてくることはあまりありませんが、遺産分割の対象となる財産が相続人が既に住んでいる不動産である場合など、相続人の兄弟間の関係性によっては代償金の話となってしまう場合もあります。
代償金の支払いと抵当権設定の事例【拓也さん(仮)の場合】
<前提条件>
- 相続人:子3人【長男(拓也・仮)、次男(信二・仮)、三男(誠・仮)】
- 相続財産: 自宅不動産 4,000万円、預金その他金融資産はほぼなし。
- 自宅不動産に、長男とその妻が居住している。長男に子供はいない。
- 次男と三男は、長男が不動産を相続してしまうと、長男4,000万円、次男0円、三男0円となってしまう事や長男の死後その自宅不動産が長男の妻のものになってしまう事に納得が出来ていない。
この事例では、次男と三男は長男が継続して相続財産である自宅不動産に住み続けることには合意しているます。長男が不動産を相続することや長男の死後、長男の妻がそこに住み続ける事は了承していますが、父母の介護や実家の修繕では次男も三男も、お金や労力を費やしてきたということもあり、今回の相続のタイミングでその分の代償をきちんと清算しておきたいという意向がありました。
一方長男は50代半ばであり、しばらくは仕事をすることが可能なので、自宅を現金に換えられない以上一度に多額の支払いは難しいが、分割による支払いを検討していました。しかし次男と三男は長男に万が一の事があっては困るので、出来るだけ一括での支払いを希望していました。
上記のようなそれぞれの意向を整理すると、次男・三男は長男から代償金として500万円ずつ(2人で合計1,000万円)支払いがあれば、遺産分割に合意するという意向にまとまりました。協力先の金融機関に相談して審査をしてもらい、自宅不動産に抵当権設定することで、1,000万円の融資を受ける了承をいただくことで解決に至りました。
こうして、長男拓也さんは晴れて相続財産である自宅不動産を自分名義に変更することが出来ました。
上記のように遺産分割の際にほかの相続人から代償金を求められている場合などは一度専門家にご相談ください。当事務所では協力先の専門家と連携してお客様のサポートをさせて頂きます。